白内障
白内障は、目の中にあるレンズの役割を果たす「水晶体」が白く濁ってしまう病気です。加齢とともに誰にでも起こりうる変化ですが、放置すると視力の低下を招き、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。特に糖尿病などの生活習慣病をお持ちの方や、アトピー性皮膚炎の方などは、合併症として白内障が進行しやすい傾向があります。また、緑内障と関連のある白内障は、自覚症状がそれほど強くなくても早めの治療が必要な場合があります。
白内障の症状について
白内障の症状は、濁りの進み具合や場所によって一人ひとり異なります。多くの場合、初期段階では痛みや充血がなく、ゆっくりと進行するため、ご自身では気づきにくいことが特徴です。
視界がかすんで見える
最も多く見られる症状は、霧がかかったように視界全体が白くかすんで見える現象です。水晶体の濁りによって光が眼底に届きにくくなるため、視力が徐々に低下していきます。眼鏡を新調しても見え方が改善しない場合は、白内障が疑われます。
光をまぶしく感じる
明るい場所に出ると、普段以上にまぶしさを強く感じることがあります。これは、水晶体の濁りによって目の中に入ってきた光が乱反射し、網膜に正しく像を結べなくなるためです。対向車のヘッドライトが以前よりまぶしく感じるのも、典型的な初期症状の一つといえます。
ものが二重・三重に見える
片方の目でものを見たときに、二重や三重に重なって見えることがあります。水晶体の濁り方が不均一であるために、光の屈折が複雑になって起こる症状です。日常生活において「なんだか物がダブって見える」と感じた際は、注意が必要です。
色の判別が難しくなる
水晶体が黄色や茶色っぽく濁ることで、青色などの寒色系が見えにくくなったり、全体的に黄色がかって見えたりすることがあります。鮮やかさが失われ、コントラストが低下するため、階段の段差が見えにくくなるなどの危険も伴います。
白内障の原因について
白内障を引き起こす原因は多岐にわたりますが、最も一般的なのは加齢による変化です。しかし、それ以外にも日常生活や持病が影響を及ぼす場合があります。
加齢による生理的変化
白内障の約9割は、加齢に伴う「加齢性白内障」です。年齢を重ねるごとに水晶体のタンパク質が変性し、濁りが生じます。早い方では40代から始まり、80代になるとほとんどの方に何らかの白内障の兆候が見られるとされています。
糖尿病などの全身疾患
生活習慣病、特に糖尿病は白内障を早める大きな要因となります。高血糖状態が続くと、水晶体の中に糖代謝の産物が蓄積し、濁りを急速に進ませることがあります。当院では内科での血糖管理と並行して、眼科での定期的なチェックを推奨しています。
糖尿病の詳細については「生活習慣病」のページを参照してください。
その他の特殊な白内障
- 先天性白内障・・生まれつき水晶体に濁りがあるケースです。
- 外傷性白内障・・目の怪我や打撲が原因で発症します。
- 併発白内障・・ぶどう膜炎などの他の目の病気に続いて起こります。
- 薬剤性白内障・・ステロイド薬などの副作用で生じる場合があります。
白内障の治療法について
一度濁ってしまった水晶体を、お薬で完全に元の透明な状態に戻すことは困難です。そのため、白内障の進行度や患者さんの不自由さの度合いに合わせて治療を選択します。
点眼薬による治療
症状が軽度で、日常生活に大きな支障がない場合は、点眼薬による治療を行います。これはあくまで「進行を遅らせること」を目的とした保存的療法であり、視力を回復させるものではありません。
手術による視力の回復
視力の低下が進み、仕事や車の運転、家事などに支障が出るようになった場合は、手術を検討します。濁った水晶体を取り除き、代わりに人工の「眼内レンズ」を挿入することで視力回復が期待できます。
※当院では白内障手術を行っておりませんが、提携医療機関への紹介、日帰り手術送迎、術後の診察を行っております。
術後の定期検診
手術が終わった後も、目の状態を安定させるために定期的な通院が必要です。また、数ヶ月から数年後に再び視界がかすむ「後発白内障」が起こることがありますが、これはレーザー治療で比較的短時間に改善できます(当院で施行可能です)。
白内障についてのよくある質問
Q1. 放置しておくと失明しますか?
A1. 現代の日本では、白内障が原因ですぐに失明することは稀ですが、極度に進むと緑内障を併発したり、手術が難しくなったりするリスクがあります。見えにくいと感じたら早めに受診しましょう。
緑内障のリスクについては「緑内障」のページも併せてご覧ください。
Q2. 手術は痛いのでしょうか?
A2. 一般的には局所麻酔(点眼麻酔など)を使用して行われるため、手術中に強い痛みを感じることはほとんどありません。意識がある状態で行われますが、リラックスして受けていただけます。
Q3. 両目同時に手術を受けられますか?
A3. 安全性を考慮し、片目ずつ日を変えて手術を行うことが一般的です。両目同時に行うと術後の不自由さが大きくなるため、数日から数週間あけて反対側の目を行うことが推奨されます。
Q4. 糖尿病があると白内障は治りにくいですか?
A4. 手術自体は可能ですが、血糖値が著しく高い状態では傷口の治りが遅くなったり、感染症のリスクが高まったりします。内科で血糖値をしっかりコントロールしておくことが手術成功の鍵となります。
Q5.白内障手術をすれば眼鏡はいらなくなりますか?
A5. 眼内レンズには大きく分けて単焦点レンズと多焦点レンズがあります。前者の場合はピントが合う点が1点のため、普段は裸眼で生活できても、近くを見るときは老眼鏡が必要になったり、運転時に眼鏡が必要になったりすることが多いです。後者を選んだ場合は眼鏡の使用頻度を減らせますが、細かい文字を読む際など、必要に応じて眼鏡を使用した方が快適に過ごせる場合もあります。また乱視が残る場合も眼鏡での調整が必要になります。眼鏡は術後視力が安定してからの処方を推奨しています。
