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糖尿病性網膜症

糖尿病性網膜症は、糖尿病の三大合併症の一つとして知られ、成人後の失明原因の上位を占める非常に深刻な疾患です。血液中の糖分が多い状態が続くことで、網膜の細い血管がダメージを受け、視力低下や最終的には失明に至る恐れがあります。愛知県春日井市の味美町に位置する内科眼科ゆたかクリニックでは、内科と眼科を併設しているため、血糖値を管理する内科的なアプローチと、網膜の状態を確認する眼科的な診察をスムーズに同時に受けていただけます。糖尿病の治療において、網膜症の早期発見と進行防止には内科と眼科の密接な連携が欠かせません。当院では、総合内科専門医である院長と眼科スタッフが情報を共有し、患者さん一人ひとりの全身状態に合わせた丁寧な診療を行っています。味美駅から徒歩10分の通いやすい立地で、地域の皆さんの目の健康を守るために尽力しています。糖尿病と診断された方はもちろん、最近視界に違和感がある方も、まずは一度ご相談ください。

糖尿病性網膜症の症状について

糖尿病性網膜症の最も恐ろしい点は、病状がかなり進行するまで自覚症状がほとんど現れないことです。網膜はカメラのフィルムに例えられる重要な組織ですが、初期段階では中心部の視力が保たれていることが多いため、自分では気づかないうちに血管の破壊が進んでしまいます。臨床の現場でも、かなり悪化してから初めて受診される患者さんを多くお見かけします。

病状が進行してくると、以下のような症状が自覚されるようになります。少しでも違和感を覚えたら、早急な検査が必要です。

  • 視界の中に小さなゴミや虫のようなものが浮いて見える(飛蚊症)
  • 急激に視力が落ちた、あるいは全体がかすんで見える
  • 視界の一部が欠けて見える、あるいはカーテンがかかったように暗くなる
  • ゆがんで見える、あるいは色の判別がしにくくなる

これらの症状は、網膜内での出血やむくみ、あるいは増殖組織による網膜剥離などが原因で起こります。特に急な視力低下は眼底出血のサインである可能性が高く、一刻を争う処置が必要になるケースも珍しくありません。痛みがないからと放置せず、定期的に眼底検査を受けることが、何よりも大切な守りとなります。

症状の詳細については「眼科」のページを参照してください。

糖尿病性網膜症の原因について

糖尿病性網膜症の直接的な原因は、慢性的な高血糖状態によって全身の微小血管が障害されることにあります。網膜には非常に細い血管が張り巡らされており、酸素や栄養を供給していますが、血糖値が高い状態が続くとこれらの毛細血管が次第にもろくなり、詰まったり破れたりするようになります。

血管が詰まってしまうと、網膜へ十分な酸素が届かなくなります。すると網膜は、酸素不足を補おうとして新しい血管(新生血管)を作り出そうとします。しかし、この新生血管は非常に弱く、もろい構造をしているため、わずかな血圧の変化などで簡単に破れて出血を起こしてしまいます。これが硝子体出血や網膜剥離といった重篤な状態を招く引き金となります。

また、糖尿病網膜症を悪化させるリスク因子としては、以下のような要素が挙げられます。

  • 長期間にわたる血糖コントロールの不良(高いHbA1c値)
  • 高血圧症を合併していること
  • 脂質異常症(高脂血症)による血管への負担
  • 腎機能の低下や妊娠、喫煙習慣

当院では内科での生活習慣病管理を並行して行えるため、これらの悪化原因をトータルでコントロールできる強みがあります。

生活習慣病の管理については「生活習慣病」のページを参照してください。

糖尿病性網膜症の病気の種類について

糖尿病性網膜症は、進行の度合いによって大きく3つの段階に分類されます。それぞれの段階で必要な治療や通院頻度が大きく異なりますので、現在の自分の状態を正しく把握しておくことが重要です。

単純糖尿病網膜症

網膜症の初期段階です。毛細血管に小さなこぶ(毛細血管瘤)ができたり、小さな点状の出血が見られたりします。また、血管から漏れ出したタンパク質や脂質が網膜に沈着する白斑が見られることもあります。この段階では視力に影響が出ることは稀で、自覚症状はほぼありません。治療の基本は徹底した内科的な血糖コントロールです。眼科では数ヶ月に一度の定期的な経過観察を行います。

前増殖糖尿病網膜症

血管の詰まりが広がり、網膜の一部が酸素欠乏の状態(虚血)に陥っている段階です。放置すると新生血管が発生する手前の非常に危険な状態です。この時期でも自覚症状がないことが多く、発見が遅れがちです。検査で血液の流れが悪い場所が確認された場合、新生血管の発生を防ぐためのレーザー治療(網膜光凝固術)が検討されます。ここでの処置が失明を防ぐ大きな鍵となります。

増殖糖尿病網膜症

網膜症の最終段階であり、酸素不足を補うための新生血管が実際に発生した状態です。新生血管が硝子体に向かって伸び、そこで大出血(硝子体出血)を起こしたり、増殖膜が網膜を引っ張って網膜剥離を引き起こしたりします。視力が激しく低下し、失明の危険性が極めて高い状態です。レーザー治療に加えて、硝子体手術などの高度な外科的処置が必要となるケースが増えます。

糖尿病黄斑浮腫

上記3つの段階のどこでも起こる可能性がある病態で、網膜の中心部である黄斑にむくみが生じるものです。視力に直結する部分であるため、たとえ単純網膜症の段階であっても、黄斑浮腫が起こると「目が見えにくい」「ゆがむ」といった症状が出ます。近年の眼科診療では、この浮腫を抑えるための薬物注射などの治療が広く行われています。

糖尿病性網膜症の治療法について

糖尿病性網膜症の治療における最大の目的は、病気の進行を食い止め、視力を維持することにあります。当院のように内科と眼科が連携している施設では、全身管理と眼所見に基づいた多角的な治療提案が可能です。

内科的治療(血糖・血圧コントロール)

すべての段階において、最も基本的かつ重要な治療です。血糖値を適切な範囲で安定させることで、網膜血管へのダメージを最小限に抑えます。糖尿病の管理が不十分なまま眼科的な治療だけを行っても、効果は限定的になってしまいます。当院では日本内科学会 総合内科専門医である院長が、食事療法、運動療法、そして必要に応じた薬物療法(インスリン治療を含む)を指導し、眼科診療を支える強力なバックアップを行います。

網膜光凝固術(レーザー治療)

前増殖期から増殖期にかけて行われる治療です。網膜の酸素不足に陥っている部分にレーザーを照射し、新生血管が発生するのを防いだり、すでにある新生血管を退縮させたりします。視力を回復させるためのものではなく、あくまでこれ以上の悪化や失明を防ぐための治療です。外来で数回に分けて実施されることが一般的です。

硝子体内注射(抗VEGF療法)

糖尿病黄斑浮腫に対して近年注目されている先進的な治療法です。血管を新しく作らせたり、血管から水分を漏れさせたりする物質(VEGF)の働きを抑える薬を、眼球内に直接注射します。むくみを解消することで視力の改善や維持を目指します。定期的な注射が必要になる場合がありますが、非常に精度の高い治療効果が期待できます。

硝子体手術

硝子体出血が長引いたり、網膜剥離が起きたりした場合に行われる手術です。眼球の中に細い器具を入れ、出血した血液や網膜を引っ張っている増殖膜を取り除きます。網膜の状態によっては視力の回復が難しい場合もありますが、失明を回避するために必要な処置となります。手術が必要と判断された場合は、速やかに適切な高度医療機関をご紹介する体制を整えています。

糖尿病性網膜症についてのよくある質問

Q1. 血糖値が安定していれば眼科に行かなくても大丈夫ですか?

A1. いいえ、必ず受診してください。血糖値が安定していても、過去の蓄積されたダメージにより網膜症が進行していることがあります。また、急激に血糖値を下げすぎた時に一時的に網膜症が悪化することもあるため、内科と眼科の両方で経過を見る必要があります。

Q2. 眼底検査の後は車の運転ができますか?

A2. 詳しい検査のために瞳孔を広げる薬(散瞳薬)を使用した場合、4時間から5時間ほどは眩しく、ピントが合いにくい状態が続きます。事故を防ぐため、ご自身での運転による来院は避けていただき、公共交通機関やお付き添いの方の運転でお越しください。

Q3. レーザー治療は痛いですか?

A3. 点眼麻酔を使用するため、強い痛みを感じることは少ないですが、照射時にズーンと響くような重い感じや、チクチクする感覚を覚えることがあります。個人差がありますが、耐えられないほどの痛みではありませんのでご安心ください。

Q4. 網膜症が治る(寛解する)ことはありますか?

A4. 網膜症そのものが完全に元の健康な状態に戻ることは難しいですが、適切な治療と管理によって、進行を食い止め、不自由のない視力を維持し続けることは十分に可能です。私たちはその状態を目指して治療にあたります。

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